健康診断で受けるエコー検査って?どんなこと調べてるの?
こんにちわ。
今回はエコー検査について話していこうかなと思います。
若い方はあまり馴染みのない検査かもしれませんね。
日本の健康診断を見てみると、やはりある程度年齢のいったかたが受けるイメージですね。
しかし、若い方のガンが増えているので、20代から受けてもいい検査となっています。
エコー検査ってそもそもなに?
エコー検査ってそもそもなんなの?
そう思う人も多いと思います。
まずはエコーについて話していきましょうか。
エコー検査で使うエコーというのは超音波のことです。
超音波検査ともいいます。
超音波は聞いたことある人も多いのではないでしょうか。
超音波というのは人間の耳に聞こえない音波のことです。
人間の耳には20~20000Hzの音しか聞こえないといわれています。
その音より高周波な音を超音波といいます。
では実際にエコー検査で使う超音波というものはどれくらいの高周波なのか。
20001Hz?
いやいや、そんなもんじゃないです。
お腹で3500000Hz、乳房で7500000Hzという大変な高周波を使って検査をします。
高周波になればなるほど、細かく見ることができます。
その代わり深いところは見えなくなるという特徴があります。
そのため、お腹のように深いところまで見る必要がある場合は(おなかが大きい人が多いですからね)高周波すぎると深くまでみることができません。
そのため3.5M程度の機械をつかいます。
逆に乳房や甲状腺のように浅いところを見る検査は、7.5Mやそれ以上の高周波な機械を使って検査をするわけです。
(ちなみに、おなかの検査でも浅いところにある臓器を見たい場合は、14MHzくらいのかなりの高周波の機械をつかうこともあります)
このように高周波の音を人体にあてて検査をするのがエコー検査になります。
しかし音を当てただけでは検査になりません。
ここに音の性質を考える必要があります。
こだまってご存知ですか?
山にむかって「やっほー」って叫ぶと反射して聞こえてくる。
そう、この反射が音の性質なわけです。
人体にあてた高周波もとあるところで反射してきます。
それはどこでしょうか?
ここでもう1つ超音波についてお話します。
超音波をもっと大きくして使っている人たちがいます。
それは漁師です。
魚群探知機、それがまさに超音波です。
海面から超音波を出し、魚の群れや地面にぶつかった音の反射を利用して魚の位置を知るわけです。
この場合、魚や地面で反射してきていますよね。
けっして海中で反射してくることはないわけです。
こだまも一緒です。
超音波ではありませんが、人が発した音は空気中で反射することはありません。
山の地面に反射してかえってくるわけです。
このように硬さの違うものに音がぶつかると反射するわけです。
では人体ではどうでしょうか?
皮膚にあてて超音波を体内にいれると、体内には様々なものがあります。
臓器もあれば血管もあります。
臓器じたいも、様々な硬さのものが複合してできているものもあります。
そのように違った硬さ(正確には音響インピーダンスといいます)のところで超音波は反射し、皮膚にあてた機械に戻ってきます。
それを画像としてモニターにだしたものを使って検査する、それがエコー検査です。
どんなことがわかるの?
エコー検査を受ける人は案外何を調べているかわかっていません(ほかの検査もそうかもしれませんが)
この検査、普通にうけたら3500円~6000円くらいする検査です。
そんだけかかるのに何を調べているかわからないのは、もったいないです。
まず腹部エコー検査。
だいたいの健康診断で調べているのは上腹部に存在する肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓の5臓器を調べることが多いです。
場所によっては膀胱・前立腺・卵巣系を見るところもあるでしょうが、これらは条件が厳しく(膀胱は尿をパンパンにしなければ完全にはわかりません。前立腺もそうです。卵巣系は女性の生理周期によってはまったく見えないということもあります)誰もが簡単に受けれるとはいいがたいです。なのでどちらかといえば、健康診断で受けるというよりは、他の検査で異常があったから病院で検査する、ということのほうが多いのではないでしょうか。
大動脈あたりは一緒に見えてくるでしょうが、観察していないところもあるでしょう。
続いて乳房エコー検査。
これはそのままですが、乳房を見ています。
乳房は表層から皮膚・脂肪・乳腺・(脂肪)・大胸筋というように構成されています。実際に見ているのは乳腺の部分です。
ここは女性が子供を産んだ時におちちをあげるための組織です。
実際に健康診断で行うのは上記の臓器を対象にしていると思います。
ではなにをみているのでしょうか?
それはがんがあるかどうかです。
それらがんができていないかを調べるのがエコー検査の最大の目的です。
がんが現在人間の病気(あえて書きました)での死因の第1位はがんです。
このエコー検査をするだけでそのようながんがあるかどうかが判別できるわけです。
エコー検査の利点と欠点
エコー検査で全てのがんがわかるなら、他の検査いらないじゃん。
そう思う人も多いと思います。
そこで少し利点と欠点について話していきたいと思います。
エコー検査の最大の利点は非侵襲検査だということです。
非侵襲?なんだそれ?
はい、むずかしいですよね。
簡単に言えば痛みがない、ダメージがないということです。
エコー検査をする際に使用するのはなんでしたか?
音ですよね。
音を体内にあてても全くの無害です。
妊娠した女性にあてて、あかちゃんの顔をみたりする検査もエコー検査です。
痛みもなく(たまに息吸い込んで苦しいかもしれませんが)放射線被ばくもないのに、人体をくまなくみることができ、がんだけじゃなく脂肪肝(いわれたことある人多いんじゃないですか?)や胆のうポリープ、腎結石など様々な所見が見つかります。
また乳腺では痛みもなく、数ミリのがんも見つかります。
女性の乳がんは罹患率(かかる確率)が1位ですが、死亡率は4位です。
つまり乳がんになっても早く治療をすれば治るということです。
痛みもなく数ミリで見つかれば、どれだけ完治するか。
早期発見は、がんの完治だけではなく、乳房をとらなくてもすむという女性にとってはとても大切なことも可能になります。
またエコー検査は5000円程度、会社によっては無料で受けることもできると思います。
検査じたいも10分程度と、気軽にうけることができます。
このようにエコー検査はがんを見つけるためには最高の検査方法に思えます。
しかしここで欠点と書いたように、万能の検査ではありません。
それでは欠点はどんなものでしょうか。
まず最大の欠点が検査した人の腕によるというところです。
過去数千人を検査し、知識も技術も最高ランクの検査技師に検査してもらえば、こまかい病気を見つけてもらうことができると思います。
しかし、習いたての検査技師が単独で(習いたてならベテランが同時にチェックするべきですよね)検査してた場合は不安が残ります。
また見た目がベテラン(年齢がってことです・・・・)であっても油断はできません。
一般的な職業と違い、医療の世界は日進月歩です。
日々、技術が開発され、新しい病気が見つかり、その治療法や検査法がみつかります。
高齢(といっても50代ですが)の検査技師・看護師は勉強をおろそかにする人が多いです。自分が学生だった数十年前の知識で仕事をしている人も数多くいるのです。
実際私が、医療の現場できた派遣の検査技師さんに
「〇〇という所見がきたら××してくださいね」
とつたえると、帰ってきた答えは
「〇〇?なんですかそれは」
ということでした。
すぐにその検査技師さんは、そのポジションからはずしました。
このように医療の世界では知識や技術のレベルが千差万別です。
そしてエコー検査というものは、検査結果が検査する人の腕に大きく左右されます。
なぜでしょうか?
例えばここで、マンモグラフィと比べてみましょう。
マンモグラフィは放射線被ばくがありますから、妊婦は検査できません。
また乳房を圧迫するため強く痛みがでる人もいます(私の知り合いは全く痛みがなかったようですが)
そのような侵襲性のある検査ですが、乳がん検査としては広く使われています。
その理由の1つは、検査する人の腕に左右されないということです。
検査する人は、決められた位置に乳房をもっていき挟んで撮影します。
静止画です。
それを専門の読影医が見ます。
乳房全体を撮った静止画をみるわけですから、検査する人の腕は関係ありません(実際にはすこーーーーーーーーしだけ関係しますが)
ところがエコー検査は、動画です。
乳房全体をくまなく検査をしますが、動画全てを読影医がみるわけではなく
検査した人が残した数枚の(私のところでは十数枚と多いですが)写真をみて読影します。つまり、検査した人ががんを見つけられなければ写真には残りません。
これは腹部エコー検査でも同じです。
つまり、検査した人の腕に大きく左右される、これがエコー検査の最大の欠点なのです。
次に検査をするための条件があるということでしょうか。
特に腹部エコー検査は食事制限があります。
これは胆のうという臓器が影響します。
この臓器は中に胆汁という消化酵素の液体を貯めています。
食事をするとこの胆汁が外にでてしまいます。
すると、水を抜いた水風船のごとくしわしわになってしまい、中や壁の構造を観察できません。この状態だとがんがあってもわからないのです。
そのため絶食してから検査を受けてもらいます。
また音の性質として、空気には大変弱いです。
そのため空気の多い臓器の検査には不向きです。
具体的には肺、胃、小腸、大腸など。
このように空気が多くある臓器は他の検査(例えばレントゲン)でがんがないかを見ていきます。
まとめ
音を体内にあて、その反射波を画像化することで検査をするエコー検査。
痛みや苦痛、人体への悪影響もない素晴らしい検査方法です。
肝臓をはじめ多くの内臓を観察することができるため健康診断をはじめ多くの場面でつかわれています。
ただ、検査をする人の腕によって検査の質が大きく左右されるため、健康診断を実施する施設や病院によっては見落としがあるのも現状です。
検査を受ける際はそのあたりも頭にいれて検査をうけてみてください。